「わがままなお姉さんだね・・・恋人の男が心配して言ってるのに…」



隣の部屋から光貴君が出てきた。



人間不信で誰とも話さないんじゃなかったっけ?



「紫岐とか言う男は…歌舞伎町のランジェリーパブ『マーズ』にいるよ」



「あ…それはガセじゃないの?」



「ああ~ガセじゃない…」



光貴君の声…どこかで訊いたコトがある特徴のある甘い声だ。


私は彼のサングラスを外そうと手を伸ばす。



でも、彼は私の手をパシッと振り払った。


「兄貴…付いていってやりなよ。紫岐とは顔見知りだろ?」



「栗原お前!?」