「たくっ…」


ボスはバツの悪そうな顔で私たちを見つめた。



「犯人の目星はついているんですよね」



「まぁな」


「たぶん、紅組ですよね」


「そう思うのが自然だが・・・」


紅組の縄張りで悪さを繰り返していた神田親娘に制裁を加えるつもりで、娘の明美を誘拐して、二人の稼いだ金を巻き上げる為に身の代金を要求。



「身の代金の額がしょぼすぎる。400万って何だ?」


「ヤクザならヤクザらしく思い切って1億くらい要求してもいいですよね」


「紅組も相手は母子家庭だし、良心的に身の代金の額を設定してるんですよ」


紫苑ーーー・・・!?