奈美さんは紫苑の胸板に顔を押し付けながら、目だけは私に喧嘩を売るような目で見つめる。



紫苑は自分の男であるかような雰囲気。




「…いい加減に二人とも離れろっ!」



私は奈美さんと紫苑を引き離した。



「それは、心愛の嫉妬?」



「ち、違う!!」



「本当に可愛いね…心愛…」



「あ…そう言えば…どこかで香ったコトあるフレグランスの匂いがした…」


思い出したように奈美さんは言葉を発した。



「男なのにフレグランス?佐藤はそんなおしゃれな香水など付けるような男じゃない…」


「どちらと言えば加齢臭が匂って来そうだな…」