左ハンドルの運転は慣れてないが…コトは一刻を争う。



私はハンドルを切り、車道へ飛び出す。



スポーツタイプの車体に見えたけど、座り心地は抜群。

グイグイと引っ張られるように車は走る。



「心愛とは可愛い名前だね~」


「・・・」


隣で聞こえる声は少し低めの甘いテノール。



名前のコトを言われるのはあまりスキじゃないけど。



私は捜査協力をしてくれた彼に愛想良く口角を上げる。でも、男の顔は見る余裕はなかった。


ともかく今は、ホシの乗ったタクシーを追うのが先決。