その時だった。
「いいけど…内緒だよ?」
えぇ!!
紗和、今なんて?
「ちょっと待って!紗和!来て!」
私は紗和を教室のテラスに連れ出す。
「もしかして、もしかして…」
あんまり信じたくなかったけど、
少し疑っていた人の名前を出す。
「クム?」
奥村祐也。同じクラスの男子。
オクムラからクムって呼ばれたりする。
「…うん」
やっぱり…。
私はグループに戻って、
紗和が皆に話してるのを上の空で聞いていた。
言ってくれなかったとかは、どうでもいいの。
それより、紗和までもが恋をしているってことに焦りを感じたの。
みんな、恋してるんだなぁ…。
