**最後の恋**






「彼女が、突然結婚する気はあるのか
って言ってきた時は、正直驚いた」

「女性は、25,6くらいになると
そういうのを意識しだしますから」

「そうらしいね…
俺はあの時はっきり言った
俺と今後も付き合っててもその先に
結婚だけはありえない話だと」

「それは…」

「彼女には、決定的な出来事
だっただろうな」

「えぇ」

「そんで、俺達は別れる事に
なったって訳だ」

「その…彼は原因の1つでは
ないんですか」

「ない、渚と出会ってなくても
結婚って選択肢は俺の中にないから
遅かれ早かれ別れはきたと思う」

「そうですか」

「彼女にしてみれば、
付き合ってた頃の俺と
あまりにも違うから腹立ったんだろうな」

「そんなに変わったんですか?」

「あぁ、彼女と付き合ってた頃
5周年記念に【J】のペアリングが
欲しいって言われたんだけど
俺は、きっぱり断った」

「どうしてですか?」

「自分でも分かりませんけど
もともと、そういうの身につけるのが
好きじゃなかったんです
時計ですらしたくないんですけどね
しょうがなくしてるんですよ」

「そうですか」