コイン★悪い男の純情

 淳也はJR京都駅の公衆電話の前にいた。そして、かんなに電話をしようか、やめようか、迷っていた。

 100円硬貨を電話機に入れ、かんなの家の電話番号を押して、最後の番号で、淳也は電話をするのを止めた。



 「やはり、声を聞かずに帰ろう」



 そう決心すると、淳也は新幹線のプラットホームに向かった。


 淳也は、博多行きのプラットホームに着いた。

 出発までに少しの時間があった。



 淳也はスラックスのポケットから、1枚のコインを取り出した。それは、ジョッキの中にあった最後の100円硬貨だった。


 淳也は、今の生き方をコインに尋ねてみるつもりでいた。




 裏か。

 表か。




 淳也は、コインを大きく上に放り上げた。


 コインは、空のてっぺんでキラキラと輝いていた。





 (了)





 

 *この物語はフィクションです。





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