新聞を読みながら、
 「そう言えば、この近くで真夜中に救急車のサイレンが幾つも鳴っていたな」
と、かんなは呟いた。

 急いで、かんなは団地の外に走って出た。


 道路に出ると、2台のパトカーが止まっていた。


 道路を歩いていると、花束が置いてある。


 「あっ、ここだわ」
 「これって、勇太と殆ど同じ場所じゃないの」

 「偶然かなあ」
 「親子が同じ場所で、同じひき逃げで死亡するかなあ」

 「きっと、偶然じゃないわ」
 「じゃ、誰が?」




 「淳也さん?」





 「まさか」

 
 「きっと、そうだわ」

 「なぜ、淳也さんがひき逃げを」



 「真の犯人は前崎なのに、警察は何も出来ない。こんな事が許されているなんて、私、気が狂いそうよ」


 かんなは、自分が言った言葉を思い出していた。