車から降りると、淳也はウイスキーの瓶を前崎の車から取り出し、前崎が横たわっている辺りに撒いた。そして、前崎の手にウイスキーの瓶を握らした。


 瓶には、ほんのわずかウイスキーが残っていた。



 「かんなさん、これでいいでしょう」


 淳也が、かんなの自宅の方を見詰めて呟いた。



 淳也は自らの手で、勇太を殺した真犯人、前崎を死刑にした。



 淳也は盗難車に乗り込むと、亀岡方面に車を走らせた。途中、淳也は車を捨て去った。




 (どこに行こうか)




 そう呟くと、淳也はそこから姿を消した。