コイン★悪い男の純情

 すぐに胃洗浄などの処置が、医師からかんなに施された。
 かんなは、無事命を取り留める事が出来た。


 淳也は勇太の葬式の時に紹介された、神奈川に住むかんなの母親に、電話で連絡をした。


 かんなの母親は、かなり驚いた様子で、すぐに病院に行くと言った。
 かんなは緊急治療室から、個室に移された。


 淳也は、ベッドで眠り続けるかんなを優しく見守っていた。

 「命が助かって良かったな」

 「遺書を読んでかんなさんの気持ちは良くわかった。かんなさんの苦しみは、俺が必ず受け止めてやる」


 淳也はかんなに無言で語り続けた。

 
 夜遅くにかんなの母親の綾瀬奈津子が、かんなの病室に訪れた。


 「お世話になります。綾瀬です。かんなはどうですか」

 「胃の洗浄も終わって、命には別状ないみたいです。今まだ眠っていますが」

 「吉見さん、この度は本当にお世話を掛けましたね」

 「お母さんも神奈川から来られたのですから、大変お疲れでしょう。ここに座って下さい」


 淳也は、母親の奈津子に椅子を差し出した。