「あれ、持ってきたで」

 カバンを少し持ち上げて、見せびらかすようにしながら、絵美が現れた。
 「ありがとう。恩に着るよ」
 「ちょっと見せたろか」

 「ここではいいよ。いつもの所へ早く行こう」
 「それがええな」

 二人は足早にホテル5番街に向かった。

 二人は502号室に入った。


 「はよ! 脱いで」

 絵美はあっという間に裸になっている。

 「よっしゃ。ベッドにうつぶせになって寝転んで」
 「・・・」

 絵美がルイ・バルトンの手提げバッグから、1万円の札束を八つ取り出した。

 「ええことしたるからな。楽しみにしとき」

ニンマリ笑うと、絵美が帯封のある札束を純一の背中の上にゆっくりと並べ出した。

 「一つ」
 「二つ」
 「三つ」
 「四つ。どや、気持ちええやろ」

 純一は背中の上に金が並べられているのを感じながら、今日は命の限界まで仕事に励むつもりでいた。

 「五つ」
 「六つ」
 「七つ」
 「八つ」

 「どや、重たいか」
 「ずっしりと最高の重さや。ありがとう」

 純一はゆっくり立ち上がると、札束を拾い集めた。

 「これは有難く預かっておく」

 急いで、純一は用意したカバンの中にそれを入れた。