コイン★悪い男の純情

 「ううっ・・・ういっうういっ・・・」
 
 かんなの目から、大粒の涙が零れ落ちた。

 「かんなさん、本当に僕を許して下さい」
 「・・・」 

 「本当に、許して下さい」


 「ういっういっ、淳也さんは、ういっ、あの女性と、ういっ、あれから、ホテルに入ったの」

 「許して下さい。入りました」



 あ~ん、、わあ~ん、わあ~ん。


 かんなは、また激しく泣き出した。

 「許して下さい」
 「ういっういっ、そして、最後まで行ったの」

 「いいえ、キスだけです」
 「どうして、二人っきりになりながら、キスだけなの」

 「かんなさんを、裏切りたくなかったからです。信じて下さい」


 淳也は苦しい嘘を付いた。


 「キスだけなら、あのままロビーですればいいじゃない」
 「皆が集まって来て、見ていましたので」

 「呆れた」
 「許して下さい」

 「キスは淳也さんから」
 「そうです」

 「あんな人前で」
 「仕事だからと、割り切っていました」


 「呆れた人ね」


 かんなが、淳也を見て呆れた顔をした。