「久し振りやな」
「何の用。用が無いのやったら帰って」
「ええ話や」
前崎は、にたっにたっと嫌な笑いを続けている。
「何やの。にたにたと笑って、気持ちが悪いわ。用があるのやったらさっさと言うて」
「びっくりするで」
「何やがの」
「腰抜かしたらあかんで~」
「早く言いな。言わんつもりなら、帰って」
「わかった。わかった。見せたるわ。ここではなんやから、中にいれてくれや」
「いやや。そこで見せたらええやないの」
「しゃあないな。ほんなら1枚だけ見せたるわ」
前崎は、スラックスのポケットから携帯電話を取り出すと、液晶の画面に一つの映像を映し出した。
それは、淳也とリサが、ホテルのロビーでキスしている写真だった。

