空っぽの家

今日は、セットでそろえて、絶対それ以上増やさないようにしている食器類に、目をつけた様だ。

小さい食器棚に、無理なく綺麗に収まる。

調理器具も気になるらしい。

鍋2種類とフライパン一個。

ケトル。

どれも、お気に入りを奮発して買った。

ずっと何十年でも使うつもりで。

「こんなんじゃ、何も作れないわね」

確かに、この人はそうなんだろう。

一度いやいや遊びに行かされたお家のキッチンは、食器や調理器具に占領されていた。

「うちに、使ってないのがあったわね」

使ってないのがほとんどだと思うけど。

ちょっとまって、また、もってくるつもりじゃないだろうな。

服や靴は普通ごみで出せるけど、食器や調理器具は、ちょっとゴミ出しがややこしいんだぞ。

絶対やめてよね。

「あの、本当にモノはいりませんから」

「いいのよ、遠慮しないで」

いや、そっちが遠慮してくれ。

うちはあんたの家のゴミ箱じゃない。