高橋のおじさんの自宅の最寄駅に着いた時、心は妙に静かで落ち着いていた。
としくんが優しく側に寄り添ってくれた時間の効果かもしれないけど、結局は駆と私の未来を確かなものにするためには私がしっかりしないといけなくて。
腹が据わった。
「手ぶらでいいかな」
改札を抜けながら視線を向けると、としくんは何かを見つめていた。
なんだろうと、その視線を追うと。
「え?駆?」
スーツ姿の駆が駅の柱に寄りかかっていた。
普段見せない硬い表情で、ただ前を見ている様子はまるで別人で、ただでさえ整っている顔が更に引き立っている。
近くを通り過ぎる女の子たちの視線がチラチラ落ちてくるのにも気付かないようで、ただ何かを考えてるみたいだ。
人を寄せ付けない空気感が、一層駆を魅力的にしているようで、私の気持ちはやっぱりぎゅっと掴まれる。
何度も駆を好きだと実感してるけど、今もまさにその時。
「としくん、私の恋人って、本当に格好いいよね」
視線は駆に向けたまま、ぼんやりする私の頭をぽんぽんと叩いて、としくんは小さく息を吐いた。呆れてる?
「駆が格好いいのはわかってるから、早くあの緊張しすぎた顔を何とかしてやれ。夕べ俺が連絡した時から緊張しっぱなしのはずだ」
「は?夕べ?としくん、駆に今日の事連絡したの?黙っててって言ったのに」
「どうせいつかは紹介しなきゃならないんだ。今日まとめてやっとけ。
それに、駆にしてもそうしたいはずだ。美乃を自分のものにしたくてたまらないんだからな」
「う……ん」
としくんが優しく側に寄り添ってくれた時間の効果かもしれないけど、結局は駆と私の未来を確かなものにするためには私がしっかりしないといけなくて。
腹が据わった。
「手ぶらでいいかな」
改札を抜けながら視線を向けると、としくんは何かを見つめていた。
なんだろうと、その視線を追うと。
「え?駆?」
スーツ姿の駆が駅の柱に寄りかかっていた。
普段見せない硬い表情で、ただ前を見ている様子はまるで別人で、ただでさえ整っている顔が更に引き立っている。
近くを通り過ぎる女の子たちの視線がチラチラ落ちてくるのにも気付かないようで、ただ何かを考えてるみたいだ。
人を寄せ付けない空気感が、一層駆を魅力的にしているようで、私の気持ちはやっぱりぎゅっと掴まれる。
何度も駆を好きだと実感してるけど、今もまさにその時。
「としくん、私の恋人って、本当に格好いいよね」
視線は駆に向けたまま、ぼんやりする私の頭をぽんぽんと叩いて、としくんは小さく息を吐いた。呆れてる?
「駆が格好いいのはわかってるから、早くあの緊張しすぎた顔を何とかしてやれ。夕べ俺が連絡した時から緊張しっぱなしのはずだ」
「は?夕べ?としくん、駆に今日の事連絡したの?黙っててって言ったのに」
「どうせいつかは紹介しなきゃならないんだ。今日まとめてやっとけ。
それに、駆にしてもそうしたいはずだ。美乃を自分のものにしたくてたまらないんだからな」
「う……ん」

