甘恋集め

私が今の会社に入社してすぐ、新人研修があった。

配属前に行われる研修は、新入社員が全員一緒に受ける研修が二週間行われたあと、わが社のメインである設計部門に配属される予定の新人だけが設計研修の為にさらに1か月の研修を受ける。

私はもともと設計で採用されたわけではなく、正直、高橋のおじさんの力によっての入社だから研修は二週間で終了し、秘書課に配属されることは事前に知らされていた。

そして、その二週間の研修で、同期三十人の結束は固まった。今でも月に何度かみんなで飲みに行ったりもするし、仕事上でも助け合ったり、本当に同期って心強いものだと思う。

その研修中に知り合ったのが園田駆。

駆も設計で採用されたわけではなくて、システム開発部門に配属される予定で入社していた。

ただ、これから社内のあらゆるシステムを開発していくうえで、設計の基本的なことや、わが社の使っているシステムと各部署との関連を知るために、研修は設計と同じく後半も予定されていた。

私が前半の研修を終えて、しばらく会うこともないだろうって時、研修の班が一緒で何かと行動を共にしていた駆と離れてしまうことがすごく悲しくて寂しかった。

そんなメンバーなんて駆以外にも大勢いるのに、何故か駆と離れることがつらく感じてしまって。

最終日の研修後、泣いてしまった。

私には、としくんという婚約者がいるにも関わらず、ただ駆を思って泣いてしまった。