その日、利也さんの部屋に泊まることにした。
美乃ちゃんが園田くんと帰る時に私にくれたのはこの部屋の『合鍵』。
婚約してたんだから、当たり前だとしても、私以外の女の子がこの部屋の鍵を持っているのは切なかった。
もう自分には必要ないし、これまでも使った事なかったと私を安心させてくれたけど、やっぱり複雑で、顔に出てたんだと思う。
そんな私の様子に気付いた利也さんが、
『今晩は、泊まれ』
何故か命令口調なのに不安げな顔で、そう言った。
そして、二人で近所のコンビニに買い物に行った。
とりあえず私のお泊りに必要なもの幾つか。
歯ブラシやインナー、洗顔やら色々。
カゴに詰め込みながら店内をうろうろしていると、他の売り場を見ていた利也さ
んが来て、そのカゴを持ってくれた。そして意味ありげに笑った。
何だろうと首を傾げる私に、そっと見せたのは。
「え……?あ、あ、あ……それも……買うの?」

