甘恋集め

あー、どうしてこんなに、こんなにこの人は余裕なんだろ。

美乃ちゃんと一緒にいる時には見なかった意地悪な部分も感じるし、なんだか思っていたよりも軽い人なのかも。

「あんなに美乃ちゃんの事、愛しそうに見つめて、いつも気を配ってた利也さんじゃないみたい。私の事は美乃ちゃんほど大切じゃないみたい」

エレベーターが２０階に着いて扉が開くと、私の腰を抱いて、体を密着させたままで歩き出した。

そんな利也さんに連れられて廊下を歩く。

高級マンションに違いない落ち着いた雰囲気にちょっと腰がひける。

「俺が美乃の事を優しく見つめる度に、結花は悲しくて泣き出しそうな顔するから嬉しくて、ついつい大げさに美乃を見つめてたんだ。
結花のつらそうな表情を見る度に、まだ俺の事を好きでいてくれるって安心してたんだ。それだけだ」