甘恋集め

人の欲って、限界を知らないって感じる。

利也さんから気持ちをもらっただけじゃ我慢できなくて、過去の利也さんの事も気になるくらいに全てが欲しい。

「利也さんのこの顔、美乃ちゃんも見つめてたんですか?」

やっぱり気になるのは美乃ちゃんの事。

私への態度があまりにもスムーズで慣れていて、どれだけ女の人とのつきあいがあったんだって悔しくなってしまう。

唯一知っている利也さんの恋人だった、もう過去形でいいのかわからないけど、美乃ちゃんの事を意識してしまって素直になれない。

地下駐車場からエレベーターに乗ると、肩に回された手に力が入って、更に私と利也さんの距離が近くなる。私の頭にそっと唇を寄せて。

「今日は、結花を俺のものにしただけで満足だったけど、そうやって他の女に嫉妬する顔も見せられるなんて、得した気分だな。相手が美乃ってのが的外れだけど」

焦らすような甘い声。

やっぱり、慣れてる。

反対に、男の人に慣れてない私は、利也さんの声に体中がとらわれてしまって。

気持ちが固まってしまった。

声すらうまく出なくて、ただおろおろするだけ。

嫉妬して、ぐずぐずと言ってみた、私の反抗はここまでかも。

ただ利也さんを喜ばせただけかもしれない。

「とりあえず、美乃とは何もないから。結婚してもいいかとは思ってたけど、手を出すまで気持ちは傾いてなかったから。少なくとも美乃には何もしてない。
さっきの結花みたいに、美乃は俺を求めてこなかったし。
だから、少なくとも美乃をこうやって抱き寄せる事もなかった。
了解?」