甘恋集め

「で、美乃には好きな男がいるから。今日は、巧さんにそいつを紹介たんだ」

「はあ?」

思わず声にならない声。紹介って、紹介って……。

「何にも聞いてないよ。美乃ちゃん、教えてくれてないよ」

何でも話していたと思ってたのに、私には隠し事なんて何もしないって思ってたのに。

好きな人がいて、高橋専務に紹介までしちゃって。

何も聞かされていないのに。教えて欲しかったのに。

……かなり、寂しいよ。

落ち込む私に気付いたはずなのに、利也さんはくすりと笑っただけで、それ以上何も言ってくれなかった。

ただ、明るい表情で

「美乃も、言ってたな。自分に遠慮して、結花が何も言ってくれないのが寂しいって。……おあいこだよ」

はっとして、利也さんを見ると、穏やかな口元には笑みが浮かんでいた。

「大丈夫。みんなが幸せになれるように、おさまるから」

自信ありげな声に、少し気持ちは楽になる。

そして、そうなればいい、と心から思った。