甘恋集め

「えーっと……。美乃ちゃんの、大切な、男?」

「は?そこに食いつくのか?」

「あ、だって……美乃ちゃん、何も」

混乱する私に、くくっと笑った利也さんは、包み込んでいた私の指先をぎゅっと握ると、その手をそのまま私の膝に戻した。

そして、信号が青に変わった時、名残惜しそうに自分の手だけをハンドルに置いたけれど、その直前に、軽く私の頭を撫でてくれた。

「惚れてる女ってところに反応して欲しかったんだけどな」

からかうような声に、あ、と思う。そうだ、その言葉、どきっとした。
それって、私の事でいいのかな、うぬぼれていいのかな。

「この成り行きで、想像しちゃうんだけど……惚れてる女って、それって」

探るように聞くと、即答で。

「結花。お前だから。他にいない」

言い切ってくれた。曖昧になんてしない、はっきりとしっかりと、言い切ってくれた。

いつからそんな思いを持ってくれてたのかとか、どこがいいのかとか私なんかつりあわないよ、とかぐるぐると感情は落ち着かない。

「……びっくり。だけど。信じられないけど。嬉しい」

「ああ。素直に嬉しがっていいから。ちゃんと、惚れてるから」

さらに私を喜ばせる言葉を落として、利也さんはニヤリ笑った。