甘恋集め

私の目の前に差し出された手は、手の平を天井に向けられて、私の手が置かれるのを、静かに待っている。

信じられない気持ちが私の中に溢れて、体中を震わせながら利也さんを見上げると、何かを誓って、覚悟を決めた表情が、ただ私を求めていた。

他の誰でもない、ただ、私を求める強い瞳と気持ちが私に向けられていた。

「いいの?私で……いいの?」

不安を隠せない声に、利也さんは強く頷いた。

「信じろ」

固い意思が詰まった言葉が全ての不安を溶かした。

美乃ちゃんの事や、どうして今ここに利也さんがいるのか、わからない事だらけだけど。

私を求めてくれる手が目の前にある、それだけが私の真実だ。

私はゆっくりと息を吐いて、利也さんの手を取った。

途端に抱き寄せられて、私は再び温かい胸に包まれた。

ほっとした声が聞こえる。

利也さんの鼓動がかなり速いって気付いて、逆に私の気持ちは落ち着いていく。

背中に回された手はぎゅっと私を抱きこんで離さない。

耳元に感じる利也さんの吐息に目を閉じながら、私も彼の背中に手を回した。

抱きしめられながら、注がれる利也さんの体温を、この先ずっと忘れないだろうと思った。