甘恋集め

「美乃ちゃん、どうしたの？コンパに行きたかった？
でも、婚約者がいるんだから行っちゃだめだよ。利也さんが悲しむよ」

いつも美乃ちゃんを愛しげに見守っていた利也さんの顔を思い出して、心がきゅっと痛む。

だめだな、まだ全然忘れてないや……。

婚約者だって、自分で言って、自分が傷ついてる。

そして、私は美乃ちゃんには絶対に知られたくない気持ちを隠したままにっこり笑うと。

「美乃ちゃんに負けずに、私も早く結婚できるようにコンパに行ってくるから。ちゃんと息抜きしてるし、心配しないでいいよ」

すらすらと出てくる言葉のどこにも私の本音は含まれていないけれど、これ以上美乃ちゃんに心配をかけるわけにもいかない。

利也くんへの思いをいつまでも引きずり続けるわけにもいかない。

「コンパで素敵な人をつかまえられたら、ちゃんと紹介するね。
楽しみにしてて」

美乃ちゃんは、ただ戸惑って、どこか困ったように立ち尽くして、そして泣きそうな顔をしていた。

そこまで私の事を心配してくれる彼女の事が大好きだから、やっぱりコンパでいい出会いをみつけよう。

そして、新しい未来を探そう。

土曜日が、私のこれからを決める大切な日になるような気がした。