入力作業を続ける私にため息を吐いた美乃ちゃんは、
「最近、ずっと残業でしょ?たまには息抜きも必要だよ。
わざわざ体壊してまで仕事をするなんて、おかしい。
飲みが嫌なら食事だけでもいいから、行こうよ」
諦めずにねばる。
私の事を心配してくれているのがわかって、嬉しいけれど、美乃ちゃんと一緒に過ごすと、利也くんと会ってしまう可能性が高いから、今は無理だ。
会いたいけれど、会いたくない利也くん。
あの日二人で食事に行ってから連絡も何もしていない。
もともと連絡先は知っているけれど、だからといってメールをやりとりするわけでもないから、利也くんにとっては何も変わらない日常が過ぎているはずだ。
「息抜きなら、土曜日のコンパでしてくるから、大丈夫。
弁護士ばっかりのハイグレードコンパだから楽しみなの」
私を気にかけてくれる美乃ちゃんを安心させるように、軽い口調で打ち明けた。
婚約者がいるとみんなに知られている美乃ちゃんにはコンパのお誘いがあるわけなく、私の言葉に目を見開いて驚いている。
その驚き方の激しさに、逆に私が驚いた。
もしかして、コンパ、行きたいのかな?
「ねえ、コンパって……土曜日?行くの?」
絞り出すような声で、ようやく呟いた彼女。
眉を寄せて、何だか慌てている。

