甘恋集め

利也さんを思う気持ちを捨てようと決めた私は、美乃ちゃんに誘われても、利也さんのカフェには行かなくなった。

『お米にハマってるの』

そう言って、ランチは社員食堂で定食を食べる毎日。

利也さんに会えば、きっと気持ちはぶり返すし、やっぱり美乃ちゃんを見つめる優しい利也さんを感じるのはつらいから、もう行かないと決めた。

会わない時間を増やせば、私の片想いのつらさも薄れていくはず。

もらったバラのピアスを外して、カフェにも行かず。

もちろん利也さんのお誕生日には何もしない。

そして、新しい恋を見つけようと、決めてる。

そうすれば、毎晩一人の部屋で泣かないでいられるよね。

私に付き合って、毎日社員食堂でお昼を食べてる美乃ちゃん、本当は利也さんのお店に行きたいんだろうと思うけど、ごめんね。

頑張って忘れてみせるから。

美乃ちゃんと利也さんが結婚しても、心からおめでとうが言える私になれるように、忘れてみせる。

そんな私の気持ちを後押ししてくれるように、秘書課の先輩から、コンパのお誘いがあった。

利也くんへの気持ちを捨てて、新しい恋に逃げたかった私は二つ返事でOKした。

『土曜日の18時からよ。弁護士さんばかりのエリートコンパだから、気合入れておしゃれしてきてね』

はしゃいだ先輩の言葉に、すっと気持ちはさめていく。

土曜日は、利也くんの誕生日だ。

気付いた途端に、心は痛む。

……何を、今更。

私にはもう、関係ないのに。