その後の食事は、美味しいと感じながらも、気持ちは沈んだままだった。
隣の席でおいしそうに箸をすすめる利也さんとの距離は今までで一番近いけれど、手の届かない人だと改めて感じて、一層遠い人だと落ち込んだ。
美乃ちゃんが、利也さんに誕生日プレゼントを用意しているなんて、知らなかった。
会社で一緒にいる時間も、プライベートを共に過ごす時間もかなり多いのに、そんな話を聞いた事なんてなかった。
どちらかというと、利也さんに対してはドライで、甘えるとかしょっちゅうメールや電話をしているという雰囲気もなかった。
そんな美乃ちゃんから、利也さんとの温かい関係を察する事は少なくて、私は誤解していたのかもしれない。
美乃ちゃんと利也さんは、それほどの強い想いで結ばれているわけではないと、勝手に思い込んでいたのかもしれない。
けれど、そんな事はなかった。
利也さんが一番欲しがっているものをちゃんと知っている美乃ちゃんには敵わない。
私には、利也さんの事を好きだという気持ちしかなくて、利也さんが何を求めているのかなんて、全く浮かばない。
ただ、美乃ちゃんを愛しげに見つめる瞳しか、浮かばない。

