「で、このまま帰るの?何か予定でもある?」
俯く私の顔を覗き込むようにして、利也さんが問いかける。
いつもお店で見る顔よりも、数段優しい顔に、どきっとした。
「いえ、帰るだけです……」
「じゃ、夕食、付き合ってよ。結花ちゃんが気に入りそうな和食のお店連れっていってあげるよ」
「え……美乃がいないのに……」
突然の誘いに驚いて、思わずそう言ってしまった。
美乃の友達としてしか私を見ていないはずの利也さんが、どうして誘ってくれるのかわからない。
予想もしていなかった言葉は、私の頭を真っ白にした。
「んー、今頃、美乃は美乃で楽しんでるよ。だから結花ちゃん付き合ってよ」
私は利也さんの声に何か含みを感じながらも、よく理解できなかった。
美乃が楽しんでるって一体どういう事だろう。
一瞬、園田くんと楽しそうに笑い合っていた二人が頭に浮かんだけれど。
その事を深く考える間もなく、利也さんは私の手を取った。
その仕草に驚いて、はっと利也さんを見ると、普段と変わらない落ち着いた表情のまま、私の手をひいて駅までの道を歩き始めた。
少し遅れて、引っ張られるように歩く私は、この展開に戸惑いながらも、泣きたくなるほど……嬉しかった。
美乃の婚約者なのに。ちゃんとわかってるのに振りほどけない。
……ごめんなさい。美乃。
俯く私の顔を覗き込むようにして、利也さんが問いかける。
いつもお店で見る顔よりも、数段優しい顔に、どきっとした。
「いえ、帰るだけです……」
「じゃ、夕食、付き合ってよ。結花ちゃんが気に入りそうな和食のお店連れっていってあげるよ」
「え……美乃がいないのに……」
突然の誘いに驚いて、思わずそう言ってしまった。
美乃の友達としてしか私を見ていないはずの利也さんが、どうして誘ってくれるのかわからない。
予想もしていなかった言葉は、私の頭を真っ白にした。
「んー、今頃、美乃は美乃で楽しんでるよ。だから結花ちゃん付き合ってよ」
私は利也さんの声に何か含みを感じながらも、よく理解できなかった。
美乃が楽しんでるって一体どういう事だろう。
一瞬、園田くんと楽しそうに笑い合っていた二人が頭に浮かんだけれど。
その事を深く考える間もなく、利也さんは私の手を取った。
その仕草に驚いて、はっと利也さんを見ると、普段と変わらない落ち着いた表情のまま、私の手をひいて駅までの道を歩き始めた。
少し遅れて、引っ張られるように歩く私は、この展開に戸惑いながらも、泣きたくなるほど……嬉しかった。
美乃の婚約者なのに。ちゃんとわかってるのに振りほどけない。
……ごめんなさい。美乃。

