美乃と園田くんの様子に釈然としないものを感じながら、会社を出た。
もともと同期の中では仲のいい二人だから、私の入り込めない空気を作っても不思議じゃないか……。
園田くんには大学時代から付き合っている彼女がいるって聞くし、美乃には利也さんという婚約者がいるんだから。
そう思った途端に胸が痛い。
何度もその痛みを感じて、何度もその痛みをおしやってきたのに。
やっぱり、慣れない。
利也さん、とその名前を考えるだけで苦しくなる。
美乃の婚約者なのに……。
昼間お店で見せられた、利也さんが美乃を見つめる愛しげな顔。
今までにも何度も見せられて、苦しい思いをしているのに。
ちっとも利也さんへの気持ちが小さくならなくてつらい。
私って、本当に馬鹿だな。
大きくため息を吐いて、唇をかみしめた。
そして、金曜日の晩なのに、まっすぐ家に帰るしか予定のない自分に苦笑しつつ、駅に向かった。

