「えっと、この人は……」
どう言って説明しようかと、言葉を探す私。
そんな時でさえ、濠は私の腕を離そうとしない。
二度と手離さないとでもいうような強い気持ちが伝わってきて、嬉しくなる。
「この人は、私の大切な人で……」
ゆっくりと話し出したのと同時に、山崎くんが
「会いたいと、強く願ってた人……だろ?」
やさしく呟いた。
「うん。そうなんだ」
さっき、山崎くんに濠の事を話していたから、ピンときたみたいだ。
頷きながら、にっこりと笑って。
「良かったな。やっぱり、強く願えば思いは叶うんだな。相模さんの言ったとおりになったって事か。……みんなには俺から説明しとくから、今日はもう帰れよ……っていうより、連れ去られるって感じだな」
「え?」
山崎くんの視線をたどると、不機嫌そうな濠がいた。
睨むように山崎くんを見据えて、口元を歪めてる。
「濠……?」
「あ?ああ……とりあえず、出るぞ」
濠に引きずられる私は、慌てて
「みんな、ごめんねー」
そう叫ぶだけで精いっぱいだった。

