甘恋集め



周りの事も忘れて、二人だけの世界で抱き合っていると。

呆れたような声が聞こえた。

「店を出て、しばらく右に歩くとホテルあるから、続きはそっちに行ってから楽しめよ」

はっと顔を上げると、ニヤリと笑っている男性と目が合った。

濠と一緒に食事をしているらしい人。

「今日は俺の驕りだ。とっとと帰って、ようやく見つけた透子ちゃんを愛してやれよ」

大きく笑った。気のせいか、濠を羨ましげに見ているその表情。

それでも、濠の事が大切だとわかる優しそうな瞳。

濠は、私を腕に抱いたまま彼に振り返ると。

「悪い。また連絡する」

当たり前のように帰る支度を始めた。

「と、透子?一体この人……」

濠と私の様子を茫然と見ていた友達四人は、訳が分からず戸惑っていた。

私が男の人に抱きしめられるなんて想像もしていなかったんだろう、みんな言葉もない。