ぎゅっと抱きしめられた途端に、さっきとは違う涙があふれてくる。
離れていた間、気付かなかった寂しさが体中に満ちてきて、切なくなる。
何度も思い描いた再会の時は、嬉しさで笑顔しか浮かばないと思っていたけれど、今の私には嬉しさよりも、体に広がる痛みでいっぱいだ。
こうして再会できた今、もう二度と離れたくない。
離れ離れになんかなりたくないと、必死で濠の背中に腕を回してしがみついた。
手を離した瞬間、二度と会えなくなるような気がして、ぎゅっと抱きしめた。
「透子、愛してる」
囁きが聞こえる。
濠にとっても切羽詰まった思いが溢れているに違いなくて、その体からは震えさえも感じられる。

