甘恋集め



大人になっても尚、意地悪そうな目は変わっていない。

二度目に聞いた声は、記憶にあるよりも艶っぽくて心に響く。

「やっと聞けた……その声……これからいっぱい聞かせてもらえる……?
病院じゃ……聞けなかったから新鮮だね」

そっと、目の前の顔に触れると、確かに温かくて、ちゃんと彼が存在していることを感じる。

ドクドクと跳ねる心臓の音。それしか聞こえない、

私から視線を外そうとしないその顔に恥ずかしさを感じながら、少しずつ笑顔になっていく自分を感じた。

待ち焦がれていた大好きな人。

目の前の大人びた顔と、聞きなれない声。

その瞬間、私は同じ人にもう一度恋をした。

「俺にも聞かせろ。透子の声……。俺の腕の中で鳴く声もな……」