その後、茫然としたまま帰った私は、両親から詳しく話を聞いて泣いてしまった。
私の記憶がなくなってすぐ、私が引っ越しの事実を忘れていたせいで、新居は空き家のまま。もちろんそのローンは支払わなくてはいけないし、以前住んでいた部屋をそのまま借り続ける事になり家賃も継続。
そして、不渡りをつかまされたせいで、工場の経営も厳しいものとなった。
新居を売る事も考えたらしいけれど、いずれ私が記憶を取り戻した時に自分を責めると考えた両親にはそれもできなかった。
その時に援助を申し出てくれたのが透子さん夫妻。
経済的に余裕があるからと、多額の援助をしてくらたらしい。
そして工場は救われた。
そこまでは、私が聞かされていた事実と近い。
でも、援助の詳細を決める時に、竜が『援助の代わりに梅を俺にください』と頭を下げて……。
私の両親にしても、記憶をなくしている間につまらない男が私に近づかないようにという意味もこめて、婚約を了解したらしい。
相手は竜だということは秘密にして。

