それからしばらくして、ようやく私の涙も止まった。
ふふふ、とお互いに笑い合って、一緒にいられる幸せをかみしめながら坂道を下っている時、大切な事に気づいた。
体中の血がさあっと引いていくように、私の心が一気に冷めていく。
「ど、どうしよう……」
突然立ち止まった私に、怪訝そうに視線を向けた竜は
「どうした?顔色悪いぞ」
慌てて私の額に手を当てた。
「熱はないみたいだけど、……いろいろ思い出して疲れたか?ごめん。
俺が、我慢できなくて、引っ越すはずだった家なんか連れて行ったし、もう少し病院にいれば良かったな」
おろおろする竜なんて、これまで見る機会なんかほとんどなかったせいか、新鮮に見える。
そんな竜も好きだと、そう思う私ってどこかおかしいのかな……こんな時なのに。
「あのね、竜、……私、結婚……」
「え?」
俯いて、ぎゅっとこぶしを握りしめて、それでも言わなければならない大切な事。せっかく竜との記憶がよみがえって、お互いに愛し合い続けてるって確認できたばかりなのに。
どうして……。

