「梅、あなた、竜我くんの事を思い出したの?」
母さんが、ベッドの側に寄り添うように膝をついて私のほほを撫でた。
離れて暮らしていたからか、久しぶりにその体温を感じた気がする。
「思い出したって何?私、ずっと竜と一緒にいたでしょ?」
そう、高校が違ったけど、それでも会える時には一緒にいたし。
寮生活の竜にはなかなか自由になれる時間は少なくて寂しい思いもしたけど、あまりにも格好いい竜だから、寮に閉じこもってくれてると妙に安心だし。
他の女の子に気持ちを持ってかれる可能性が低くなる寮生活には複雑な思い。
卒業したら、一緒に暮らしたいねって言ってたし、有星くんと桜さんに負けないくらいに幸せな結婚をしたいって、そう言ってた。
一緒の大学に行こうって励ましあって、受験勉強を一生懸命頑張ったよね。
予備校も二人で通ってた……よね。
「あれ……私、もうすぐ大学卒業だよ?どうして、竜とは違う大学なのかな」
一緒の大学を目指してたのに。
何があったのかな……不安を隠せないまま竜を見ると、ベッドに腰かけて私の手を握っている手がびくっと震えた。
「梅……?つらくなりそうなら、思い出さなくていいんだ」
その声も、震えてる。

