* * *
「だから焦るなって言っただろっ」
「……わかってる。わかってるけど、もう俺……」
「一番つらいのは、梅ちゃんのご両親だってわかってるのか?」
「真田さん、いいんですよ。竜我くんだって、つらいのは同じですから……」
「すみません。俺が、俺がもう少し待てば良かったんです。梅を早く取り戻したくて……すみません」
何を話してるんだろう。
怒っている声が聞こえる。これって、竜のお父さんの声だ。
それに、竜と母さんの声も聞こえる。
私、竜に気にしてもらえなくて泣きながら家を飛び出して。
お気に入りの場所に行ったんだよね。
嫌なことや悲しい事があったら一人過ごすあの場所に。
坂道を走って走って……。そして、竜が私を。
そうだ、竜、竜は?

