しばらく抱きついたままだった私を、引き離すわけでもなく。
竜のお腹の前で交差している私の手の上に、自分の手をそっと置いて。
二人してじっと目の前を見上げていた。
足場で囲まれた向こうに見えるのは、建築中の新居。
父さんと母さんがずっと夢見ていた我が家がもうすぐ完成する。
工場を経営している両親は、昼夜問わず一生懸命働いている。
小さな頃は構ってもらえない寂しさから文句も言ったけれど、いつも真面目に仕事をしている両親が、私の自慢。
そんな両親が念願のマイホームを建てるだけでも驚きなのに、更に驚いたのは。
『真田透子』
世間でもかなり名前が知られている建築士に設計を依頼した事。
初めてその事を聞かされた時には言葉を失った。
なんでも、真田透子さんが勤務している会社と両親の工場は繋がりがあったらしくてその関係で引き受けてくれたらしい。
両親が作る部品はかなり多岐にわたっていて、あらゆる業界と取引があると聞いている。
評判もいいらしい。

