『一人暮らしなら、うちにご飯食べにおいでよ』
『いや、寮だから食事はあるから大丈夫』
『そうなんだ。日曜とか祝日にもご飯はあるの?』
『学校が休みの日は事前に申し込んでおけば用意してくれる』
『じゃ、週末の申し込みはしないで、うちにおいでよ。母さんの作るご飯はすっごくおいしいよ』
何度も誘う私の言葉に小さくため息をつくと、竜はようやく頷いてくれた。
『竜が大好きな茶碗蒸しなら、私も作れるから頑張るね』
嬉しい気持ちを隠す事もなく、小さく飛び跳ねた。
その途端、少し離れた場所から
『現場では飛び跳ねたりしないの』
ほんの少し厳しい声が届いた。竜と二人で声のした方を見ると、私達と同じヘルメットを被っている女の人。
苦笑しながらこっちを見ていた。
手には図面を持って、現場で作業をしている人たちと打ち合わせ中。
ちょっと大きな声で騒いでいた私達は現場では異質な存在だ。

