甘恋集め

次第に震えてくる私の体を包み込むように、運転席から身を乗り出してきた竜。

キスの合間に私の顔を覗き込んではつらそうな顔をしている。

「……ごめん。俺がもう少し待てば良かったんだけど。
有星と桜の事を思い出しかけてるのに、どうして俺の事は思い出せないんだって……。妬いた。ガキのまんまでごめん」

「思い出すって、何を?」

頬を寄せて、大切なものを手にするように、ゆっくりと体温を分け合う仕草が。

「俺の事だ」

まるでそれが当たり前で、許された行為のように自然に。

「竜、の事……」

竜だけが私のほほに触れる権利をもっているかのように甘く。

「そうだ、梅の……お前の竜の事だ」

甘くて悲しくて、諦められない思いが私に落とされる。

「私の、竜」

反復するような私の答えに満足したのか、竜は大きく息を吐くと。

「お前の竜が、ちゃんと守るから、つらくても悲しくても、思い出してくれないか?
これからはずっとお前の側にいる。もう誰が何と言おうと離れない。
それがお前にとって苦しいもので、逃げたいものでも、俺が抱きしめてやるから。頼むから、戻ってこい」

息が止まりそうになるくらい、私を強く抱きしめた。

そして……。息が止まったかのように、少しずつ私の意識は遠のいた。

目を閉じる時、私を抱きしめて離さない竜の向こうに見えたのは、見覚えのある家だった。

思い出した。

私が引っ越すはずだった家だ……。