助手席のシートベルトが外されて、私は体ごと竜にしがみついた。
竜に抱きしめられる強さに負けないくらいの激しさで抱きしめ返して、唇の温かさから離れないように必死に体を預けた。
「梅?……もっかい呼んで…」
触れ合うぎりぎりで唇を離して、竜はこぼれるような言葉をつぶやいた。
じっと待って、耐えて、それでも感情があふれるくらいに抑えられている感情をその目に感じる。
何をもう一回言えばいいのかわからない。
荒い息をどうにか抑えて首を傾げた。
「竜って、呼べ。……あの頃みたいに、俺の事抱きしめて、竜って呼べ」
額と額を合わせて、もう離さないとでもいうような鋭い瞳で見つめられて。
「竜……」
自然と口から出るその名前に、何か、大切な事を置き去りにしているような不安が溢れてくる。
私の中に眠っている優しい記憶が、その名前から目覚めそうになる。

