それまで緩やかに走っていた車が止まって、私の意識がはっと戻る。
流れる景色が呼び起こす曖昧な悲しみや切なさが私の胸にじわじわと湧き上がってきては頭のどこかがぎゅっと痛くなる。
何かが私の中から抜け落ちていて、そのかけらが少しずつ戻されていくような不思議な感覚。
エンジンを切った竜我は、シートベルトを外すと、私に視線を向けた。
昨日初めて会った時からずっと見せていたふざけた明るい調子はどこにも見えない、真面目な、そして何かを覚悟したような重い瞳。
なんだろう……怖い。
怯えた私に気付いたのか、その瞬間傷ついたように眉を寄せた竜我は、両手で私の頬を優しく包み込んだ。
「梅、泣いてもいいし叫んでもいい。俺が側にいるから、頑張ってくれないか?
俺は、もう限界だ」
「……あの、えっと……」
何かに耐えているのがわかる竜我の言葉の意味がよくわからなくて。
でも、頬を撫でる彼の手を離すこともできずに、ただ見つめ返すだけ。
悲しみ、苦しみ、切なさ、怯え、怖さ。
決して楽しい感情ではない表情全てが表れていて、竜我の心の中が荒れているのがわかる。
「いい加減、戻ってこい」

