甘恋集め

そう。双子だから、竜我と同じ顔がもう一人いてもおかしくない。

どちらかといえば竜我よりも大人びていて落ち着いている有星は、ずっと桜さんを見つめていて、彼女の事を一途に思っていた。

……え?

「桜さん……」

彼女の顔が、浮かんだ。

落ち着いていて、ふんわりと笑っている桜さんは私にとっては頼りになるお姉さんだった。

桜さんだけじゃない、竜我よりもほんの少しだけ背が高い有星の顔も……浮かんでくる。

確かに竜我と同じ顔の有星。

会ったこともない二人の顔がどうして浮かんでくるんだろう。

竜我から名前を聞かされて、その流れで想像してしまっただけなのかもしれない。

多分、名前からのインスピレーションで、何となく浮かんだだけで。

きっとそうだ。私が勝手に想像しているだけで、二人に会えば全く違う顔をしているはずだ。きっと、そう。

落ち着かない鼓動と、息苦しさを抱えたまま頭の中はぐるぐると色々な考えがよぎっていく。

自分の気持ちを落ち着かせるためだけに回ってる。

私の考えは、単なる想像だって、そう言い聞かせて、どうして二人の顔が浮かぶのかを考えないようにしようと大きく息を吐いた時。

「なあ、俺、有星と双子だって言ってないのに、どうして双子だってわかったんだ?」

「え……」

ちらっと私に視線を投げた竜我は、それ以上何も言わなかった。

何も言わないけれど、じっと考え込んでいるのはよくわかった。

考えるというよりも、悩んでいるような表情が気になって仕方ない。

そしてしばらく車を走らせた後、竜我はゆっくりと車線を変更した。

「ちょっとだけ、寄り道しよっか」