「悪くはないけど、もったいないよな。せっかくの大学時代に恋愛してこなかったなんて。せめて片思いとかでもしなかったのか?」
特にからかうような声ではないせいか、私の気持ちも少し落ち着いた。
「片思いか……それもないかな。それに私……」
「ん?何?」
「あ、ううん、なんでもない。今までもったいなかったなって思っただけ」
明るくそう答えたけれど、気持ちは全然明るいものじゃない。
『私、もうすぐ結婚するんだ』
さっき、思わずそう言いかけて、慌てて口をつぐんだ。
そんな事を聞かされても、真田くんには意味のないことだろうし、初恋も恋愛も未経験の私が結婚するなんて理解できないに違いない。
結婚する事情を聞かれてもうまく答えられないから、黙っておこうと決めた。

