甘恋集め

「そんなに緊張しなくていいから、楽にしろよ。無理矢理襲うなんてことしないから」

「襲うって……そんなこと思ってないけど」

「ふーん。で?やっぱり今まで彼氏がいたことないの?」

「は?」

ハンドルをきりながら、かなりあっさりとそう聞いてくる真田くんをはっと見た。ちゃんと前を見ながらも、肩は小さく震えていて、私をからかっているのがすぐにわかる。

「表情も硬いし声だって上ずってるし、助手席に乗り慣れてるわけでもなさそうだし。初恋も未経験か?」

最後の方は、笑いを隠そうともせず、くすくすと笑いながらの声。

なんて失礼な男なんだろう。

昨日会ったばかりなのに、どうしてそこまで私をからかってるのかわからない。

「わ、悪い?そりゃ、今まで彼氏なんていた事なかったけど、そんなに笑う事ないじゃない。……絵ばっかり描いててそんな暇なかったんだもん」

しどろもどろになりながら、ようやくそれだけを言い返した。

助手席の背にもたれて大きく息を吐くと、どっと疲れが溢れてくる。