「さ、真田くん、屋根、屋根見せてくれるの?」
まさか、ほんの小さな約束をしただけなのに、こうして電話をくれておまけに迎えにまで来てくれるなんて。
二度と会う事もないと、寂しさを感じつつ諦めていたのにこうして電話までしてくれた。
「え?だって、昨日約束しただろ?」
それが当たり前のように答えてくれる声を聞くと、昨日の約束をちゃんと信じなかった自分が情けなくなる。
「約束……したね。屋根、見せてくれるって言ってくれたね」
ソファの上で正座して、両手で携帯を握りしめて、ただ真田くんとの会話に気持ちを集中させた。
目の奥がじんわりと熱くなってきて、ぐすん、と思わず泣きそうになる。
「え?梅ちゃん、泣いてるの?」
鼻をぐすぐすさせてしまったから、半泣き状態だという事がばれたみたいだ。
真田くんに心配させたくないから、気を付けようと思った瞬間に気付かれたようで、さらに落ち込んだ。

