けれど、いくら絵の才能のかけらを感じていても、すんなりと美大に進学していいのかどうか、私には大きな葛藤があった。
美大どころか大学への進学すら難しい我が家の財政事情を考えると、のんきに絵を描いていていいのかわからなかった。
まだ大人になりきれていない高校生の私には、絵を書き続けたいという思いが強くて、あっさりと進学を諦める勇気もなかったのに、両親が多額の借金を抱えながらも仕事に励む姿を見ていると、『美大に行きたい』と言う勇気もなかった。
両親の生活の応援ができるよう、就職した方がいいのかと、悩みに悩んだ。
悩むまでもなく就職するしか道はないとわかってはいたけれど、それでも夢をあきらめる勇気を持てずに、ぐずぐずと悩んでいたある日。
高校三年生の夏休みだった。
『梅ちゃんをお嫁さんに欲しいっていう人がいるんだけど』
は?
その瞬間が、希望と絶望が混濁する時間の始まりだった。
美大どころか大学への進学すら難しい我が家の財政事情を考えると、のんきに絵を描いていていいのかわからなかった。
まだ大人になりきれていない高校生の私には、絵を書き続けたいという思いが強くて、あっさりと進学を諦める勇気もなかったのに、両親が多額の借金を抱えながらも仕事に励む姿を見ていると、『美大に行きたい』と言う勇気もなかった。
両親の生活の応援ができるよう、就職した方がいいのかと、悩みに悩んだ。
悩むまでもなく就職するしか道はないとわかってはいたけれど、それでも夢をあきらめる勇気を持てずに、ぐずぐずと悩んでいたある日。
高校三年生の夏休みだった。
『梅ちゃんをお嫁さんに欲しいっていう人がいるんだけど』
は?
その瞬間が、希望と絶望が混濁する時間の始まりだった。

