甘恋集め

もうすぐ、たった一人の人のものになるのは、彼じゃない、私だ。

せめて大学を卒業するまでは待って欲しいという私の願いを叶えてもらっただけでもありがたいんだ。

私をどこで気に入ってくれたのかもよくわからない、会ったこともない人と結婚するのが卒業後の私の進路。

受け入れなくてはいけない私の未来。

受け入れなければ家族みんなが困るとわかっていて、今更拒むなんてできない。

そんな枷で繋がれている私なのに、真田くんという、すごく格好いい、ほんの少しの時間を一緒に過ごしただけの男の子に心惹かれて、胸はどきどきと弾んでどうしようもない。

また会いたいと思う気持ちが私を包み込んで、自分の中に閉じ込めていた悲しみや諦めが一気に顔を出す。

けれど、無理だから。

どんなに嘆いても、私が背負う運命には逆らえないんだから。

いっそ私の感情なんて全て消えてしまえばいい。

真田くんへのどきどきする思い。

そんな一時的な気持ち、早くなくなればいいのに。

「会わない方がいいよね」

手の中にある携帯をぎゅっと握りしめて、今日初めて会ったばかりの、そして、会ったばかりなのに私の気持ちをぐぐっと引き寄せてしまった男の子を想った。

彼の事を想うのは、これが最後だと自分に言い聞かせながら。