甘恋集め

突然かかってきて、突然切れた電話。

今別れたばかりの真田くんからに違いない。

明日には帰るって言ってたっけ。

そういえば、あの緑の屋根の家の事を『実家』だって話してた。

っていうことは、普段は別の場所に住んでるのか。

『実家』って……まさか、結婚してる?

なわけないか。…多分。結婚してたら、初めて会った女の子に、ここまで時間をとって親しくしてくれるわけないもんね。

でも、もしも。

真田くんが結婚していたら、そう考えると何故か胸が痛い。

あの整った顔と、親しみやすい声が、たった一人の女の子のものだと考えると、気持ちが重くなる。

大学生の彼が既に結婚している可能性なんて低いとわかってはいても。

ほんの少しの可能性が、私を悩ませてる。

……ばかみたい。

私にはそんな事で悩む理由なんてあるわけないのに。