甘恋集め

「巧……」

それまで俯いていた真里さんは、ようやく巧さんへ視線を向けて。

「もうしばらく、無理してもいい?」

「ああ、いいぞ。どういう結果になっても、俺は真里が側にいればそれでいいから」

「ん……」

巧さんは、その胸に真里さんを抱き寄せて、ほっと息をついた。

抱きしめる巧さんの腕から見える真里さんの横顔は、今日初めて見る笑顔で、たまらなくかわいい。

年上の真里さんに、かわいいなんておかしいけれど。

愛する人の腕の中にいる時には、誰もがかわいくなれる。

「あー、俺も結花ちゃんに会いたくなってきたな」

巧さんと真里さんの甘さを見せつけられて、としくんが思わずつぶやいた。

「……わかるわかる」

そう答えた私に肩をすくめて見せると。

「俺も好きな女いるんだから、早く美乃達のこと許してやってよ、おじさん」

我慢できないという口調で、最後通告。

としくんが厳しい声でそう言った。