甘恋集め

「子供が持てないという事は、美乃ちゃんから聞いてるけど、だからなんだ?そんな深刻に言うほどの事でもないだろ。……息子と娘を持つ俺が言っても説得力はないか。でも、美乃ちゃんは納得してるらしいし、大きな問題だとは考えてない」

あまりにも真剣な顔の駆とは対照的に、おじさんはあっけらかんとそう告げた。

おじさんが見せた、駆の言葉の重さに驚くような反応は、私も予想外の展開だ。

つい最近、駆の体の事について話した時も、大きく受け止める事もなく、ただただ

『利也くんにしておきなさい』

そればかりだったな……。

そんなおじさんの様子に驚いた駆は、戸惑いを隠せないように私を見た。

細めた目には、『どういう事だ?』と書かれているようで、困っている気持ちがそのまま見えた。

子供が持てないという駆くんの体については、結婚を反対している理由に含まれていないようで、喜んでいいのか嘆いていいのかわからない。

とりあえず、駆くんににっこりと笑顔を返した。

すると、少し離れた場所から私たちの様子を見ていた真里さんが、小さな声をあげた。

「私が子供に恵まれないから、利也と美乃ちゃんを結婚させて跡継ぎを産んでもらおうって、お義父さんはそう考えてるのよ」

「真里っ」

悲しい響きを含む真里さんの声に、みんな振り返る。

口元をきゅっと寄せて、泣きそうな笑顔の真里さんの肩を、夫である巧さんが優しく抱き寄せていた。